それでは今週もさっそく「おすすめミニバンのおすすめグレード」に関する研究を進めてまいりましょう。今週のお題は、2006年から2014年まで販売されたホンダの5ナンバーサイズ低床ミニバン「ストリーム」です。
ウィッシュと抗争を繰り広げた(?)低床ミニバン
初代のほうのストリームは2000年10月、シビックシャトルの後釜モデルとして登場しました。「ステーションワゴン的な低床モデルなのに7人乗れる」というコンセプトで初代ストリームはスマッシュヒットを記録したわけですが、トヨタは2003年にそのコンセプトをパクった(?)ウィッシュを発売。以降、この2モデルは血みどろの戦いを繰り広げていくことになります。
で、2006年にフルモデルチェンジを受けて2代目に進化したのが、今回研究する最終型のホンダ ストリームです。
2代目ストリームは「使う」ということに徹底的にこだわった結果、全高を1545mmとし、ほとんどの立体駐車場に入庫可能としました。ですが低くなっても車内スペースは広く採られ、犠牲になりがちな3列目空間も拡大されています。そしてもちろん、依然5ナンバー枠でもありました。
エンジンは、当時のシビックと同型の1.8Lに加えて新開発の2Lも用意。トランスミッションは5速ATとCVTがあり、スポーティグレードの「アブソルート」改め「RSZ」ではパドルによるシフトが可能です。駆動方式はFFと4WDで、全グレードで両方を選ぶことが可能でした。
2009年にマイチェン、そして2014年に販売終了
2009年6月にはマイナーチェンジを行い、1.8L/2L車ともにフロントとリアのバンパー形状などを変更。内装では新シート表皮を採用するとともに大型センターコンソールボックスを設置し、快適性や使い勝手を高めました。
また足まわりにおいてもサスペンションの熟成が進み、乗り心地と応答性、安定性が向上。さらに前期型ではFF車のみの選択肢であったVSA(ビークルスタビリティアシスト)が、4WD車でも選べるようになったのがこのタイミングです。
後期型のグレード展開は1.8Lの「X」と2Lの「Gi」が基本で、それぞれのエンジンに上級グレード「RSZ」が設定されました。「Gi」は従来の「G」に代わるもので、追突軽減ブレーキやVSAなどの安全装備を充実させたグレードです。
そして2009年9月には新グレード「ZS」も追加されました。これはベーシックな「X スタイリッシュパッケージ」をベースに、カラードサイドシルガーニッシュなどのエアロパーツや15インチアルミホイールを標準装備し、インテリアにブラック内装を採用したスポーティな仕様です。
さらにさらに2012年4月には再び仕様変更が行われ、それまで3人がけだった2列目シートを2人がけに変更。その結果、3列7人乗りまたは2列5人乗りだった「乗車フォーメーションは「3列6人乗り」に改められました。
そして低床ミニバンブームの終了を受けて2014年に販売終了――というのが、やや駆け足になってしまいましたが、2代目ホンダ ストリームの概要です。
とりあえず「車両10万円」ぐらいからでも探せるが
さて、これからストリームを買おうというのであれば、当然新車はもう販売されていませんので、「中古車」を探すしかありません。その中古車相場は今どうなっているかというと――いまだ流通量は非常に豊富です。
具体的には、カーセンサーnetによれば2019年3月中旬現在で全国764台。2009年6月のマイナーチェンジを境とする前期型と後期型の量はおおむね半々といったところ。前期型のほうがちょっと多いですが、まぁおおむね半々です。そして2012年4月以降の最終型(3列6人乗りになった年式)はやや少なめとなっています。
そして2019年3月現在の中古車相場は、概算ではありますがおおむの以下のとおりです。
●前期型|10万~110万円
●後期型|20万~110万円
●最終型(6人乗りになった年式)|80万~140万円
このなかから「どれ」を選ぶのが中古車として一番おいしいのか、以下考えてみましょう。
参考:ミニバン/ワゴン車/ワンボックスの買取専門ページです
満足できる目安は総額50万円から110万円か
もしも「とにかく動けばなんでもいい!」というのであれば、前期型・後期型を問わず車両価格10万円から20万円ぐらいの超格安物件を選ぶのも悪くないと思います。車両価格ではなく「総額」で見るとさすがに40万円ぐらいになる場合が多いようですが、上手に選ぶことができればまあまあ普通に使うことはできるでしょう。
しかし、動けばいいというよりは「美観も含めてある程度は満足できる低床ミニバンが欲しい」という場合は、おおむね以下の数字を目安としてください。
●車両価格|40万円前後
●支払総額|50万円前後
この予算感で、走行5万km台までの2008年式「1.8X HDDナビエディション」を探すことができるはずです。
ただし上記は前期型の価格イメージとなります。よりスタイリッシュになった後期型を狙いたい場合は、
●車両価格|50万円前後
●支払総額|60万円前後
というのがひとつの目安となるでしょう。もちろん「目安」に過ぎませんので例外はたくさんありますが、このあたりがおおむねのスタートラインです。
さらに6人乗りとなった最終型でいきたい場合は、
●車両価格|90万円前後
●支払総額|110万円前後
とグッと高くなります。
筆者なら総額60万円ぐらいの10年式を選ぶ理由
以上の現状から、「結論としてどれがベストなのか?」ということを考えたいですが、これは本当にケース・バイ・ケースというか、人ぞれぞれが「ストリームの中古車に何を求めるか?」という部分からしか始まらない話ですので、唯一の答えを出すことはできません。
ひとつ言えるのは、今さらちょっと古いストリームという車に大枚を払うのもどうかと思いますので(そんなお金があるなら、新しい世代のミニバンを買ったほうがたぶん満足できる)、基本的には「安めなのにモノがいいやつ」を丹念に探すのが良いとは思います。
最後に「もしも筆者ならどれを買うか?」ということをお伝えします。
本当は6人乗り(2列目シートが独立式になった年式)がいいのですが、それを買うとなると総額100万円以上コースになります。個人的にはストリームにそこまで出したくはありません。なんとなくですが「総額60万円ぐらい」で抑えたいイメージがあります。
その条件のなかで「なるべく新しくて」「なるべく距離少なめで」「なるべくいいグレードで」ということを考えていくと、答えはだいたい下記のとおりとなります。
「10年式(後期型)1.8 X HDDナビパッケージの、距離少なめで装備が充実している個体」
2Lエンジンや、もっとスポーティな上級グレードも悪くありませんが、限られた予算で中古車を選ぶ場合は「なるべくベーシックなグレードのほう」に、結局は満足できるタマが多いものです。絶対ではありませんが、そういった傾向は確実にあります。
そういった意味で、もしも筆者であれば「後期型ベースグレードの、なるべくいい感じのやつを探す」という方向でいきます。
もちろんこれが唯一の正解なんかではなく、考え方や選び方は人それぞれです。ただ、少しでもご参考になったならば幸いです。それではまた来週!
[ライター/伊達軍曹]