みなさん、こんにちは!今回のSUVラボは、三菱のロングセラー車「RVR」の魅力と、気になるリセールバリューについて詳しく紹介していきたいと思います。一度カタログから消滅という憂き目にあうも、2010年にコンパクトSUVとして復活。現行モデルは、復活以降フルモデルチェンジなしで作られ続けているロングセラー車となっています。SUVというとリセールに強いイメージがありますが、RVRの実際のところはどうなのでしょうか?詳しく見ていきましょう!
三菱・RVRとは?
三菱・RVRの歴史は意外なほど古く、初代モデルの登場は1991年にまでさかのぼります。時はバブル経済末期、そして自動車業界は「RVブーム」に湧いている時代でした。初代RVRはトールワゴンスタイルで、2列シート、片側スライドドアを備えた5人乗り(ロングスライドシートを備えた4人乗りも設定)のコンパクトなクルマとして登場。モデルライフ末期には、あのランサーエボリューションのエンジンを搭載した「ハイパースポーツギア」もラインナップに加わり、「RV版ランエボ」として大きな話題を呼びました。
2代目モデルは1997年に登場。以来2003年まで生産が続けられました。5ナンバーサイズの「GDI RVR」と3ナンバーサイズの「RVR スポーツギア」が併売されていたのが大きな特徴。オンロードとオフロード、それぞれを意識したモデルをラインナップ内に揃え、幅広いニーズに応えるグレード構成でした。しかし、RVブームの終焉、そしてミニバンの台頭とともに販売台数は下降の一途をたどり、2003年を持って生産終了。その後は直接の後継車種もなく、一旦RVRの歴史は幕を閉じることになります。
そして2010年。8年ぶりにRVRの名称が復活します。しかし、クルマのスタイルは以前のような「オフロードイメージの強いトールワゴン」ではなく、三菱のSUVラインナップで最もコンパクトなSUVとして登場します。現在は、最も大型でプラグインハイブリッドの設定もある「アウトランダー」、ミドルサイズでクリーンディーゼルの設定がある「エクリプス クロス」、そして最もコンパクトでリーズナブルな「RVR」と、明確でわかりやすい住み分けとなっています。
RVRの現在の基本グレード構成は、ベーシックな「M」と上級仕様の「G」の二つと非常にシンプル。それに加えて特別仕様車として「ブラックエディション」が用意されています。
搭載されているエンジンは、全車1.8リッターSOHCガソリンエンジンで、6速スポーツモード付きCVTを組み合わせています。最高出力は139ps/6000rpm、最大トルクは17.5kgf・m/4200rpmと、車格を考えれば十分なスペック。駆動方式はどのグレードでもFFと4WDから選択可能です。
コンパクトで取り回しの良い車体、ロングホイールベースとワイドトレッド由来の優れた直進安定性、そして悪路に踏み入れた際に有利なディメンション(アプローチアングル20.1°、ディパーチャーアングル31.4°、最低地上高205mm)と、本格的なオフロードからオンロードまで路面を選ばずに安心感を持って走行できる安定感は、さすがは三菱伝統の四輪駆動車といったところ。オンロードがメインだけど、週末はロングドライブもするし、場合によっては悪路にも踏み込む…といったユーザーにとって、特におすすめのモデルといえるでしょう。
三菱・RVRは値落ちしやすいのか
ここから先は現行モデルの三菱・RVRに絞って話を進めていきたいと思います。表題の値落ちしやすいのかどうか、という問いについては「SUVとしては値落ちしやすい部類に入る」というのが結論になります。
現行モデルは細かな改良や特別仕様車がリリースされ続けているものの、やはり基本設計の古さは否めなくなってきています。特に次期モデルの具体的な話は聞こえてきませんが、モデル末期に差しかかっているためか、中古車価格の下落はセダンやミニバンといった他車種とそれほど変わりないレベルといえるでしょう。
三菱・RVRの中古価格はいま?
現行モデルの中古車市場の流通量は決して多くはなく、180台前後といったところ。実際の価格は、10年落ちの50万円前後から新車同様の250万円までかなりの幅がありますが、全グレード、全年代を含めての平均価格は140万円前後です。
この価格の背景には、同クラスには多くのライバルがひしめいているのが大きな原因と考えられます。日産・エクストレイル、トヨタ・ハリアーやRAV4、ホンダ・CR-V、マツダ・CX-3やCX-5などに比べると、人気や知名度の高さ、それに長くフルモデルチェンジされていないRVRの存在感が薄い印象はどうしても否めません。
三菱・RVRのリセール価格は?
リセールバリューについて調べてみましょう。3年落ち、3万キロ走行、無事故車で調べてみると、全グレード・全駆動方式平均で39パーセント。5年落ちでのリセールバリューは32パーセントまで落ち込みます。輸出に強いクルマではあるので、7年落ちくらいまでは高値がつく場合がありますが、そのあとは急激に下降してしまいます。
参考:SUV/RV車/クロカンの買取専門ページです
グレード別や駆動方式別に見ていくと、やはり上級モデルの「G」が強く、またFFモデルよりも4WDが強い印象があります。しかし、「G」グレードのFFモデル・3年落ちだけでみると、43パーセントと比較的高めの数値を記録。初期投資額を抑えたい方にとっては魅力的なグレードといえます。
三菱・RVRを高値で買い取ってもらうには
RVRはロングセラーモデルで、かつマイナーチェンジのタイミングが一定ではありません。よって、モデルライフを判断しながら売り時のタイミングを探す、というのは非常に難しいのが実情です。現行モデルもモデル末期に差し掛かっているのはたしかなのですが、次期モデルがいつ登場するかのアナウンスはまだ出ていません。
SUVの高額買取のセオリー通り、「夏前の売却」「高年式、低走行のうちに売却」が最も確実に高値で買い取ってもらえるでしょう。特にこのモデルだけで高値がついているボディカラーもないので、一般的に人気のある「ホワイト」「シルバー」「ブラック」系のカラーリングであれば、他の色よりも少し高い査定が期待できます。
まとめ
三菱・RVRは2019年上半期の平均月販売台数は84台と、他社のコンパクトクラスSUVに比べるとかなり販売台数が落ち込んではいますが、実は海外での状況は日本と全く異なります。少し古いデータで恐縮なのですが、2017年上半期には7万5千台を売り上げた、三菱では3本の指に入る「稼ぎ頭」なのです。そうしたことから、三菱がRVRをフルモデルチェンジなしで消滅させることは考えにくいと思われます。
とはいえ「次期型は日本に導入しない」という選択肢があることも確かです。2019年8月には大胆なフェイスリフトを含めたマイナーチェンジが行われましたが、今後の先行きについてはっきりしたことは何もいえません。三菱らしさを感じられるコンパクトSUV「RVR」が気になる方は、どうかぜひお早めに!
[ライター/守屋健]