それでは今週もさっそくオススメSUVに関するモロモロの解説を始めてみましょう。今週のお題は、直近のSUV販売台数ランキングでもトヨタC-HR、ホンダ ヴェゼルに次ぐ第3位に入っている人気のSUV、トヨタ ハリアーです。
現行ハリアー、それは「ちょうどいいトヨタ」だ!?
ハリアーの本質的な魅力とは、要するに「すべてがちょうどいい」ということでしょう。「ちょうどいい」というのはホンダ フリードの広告でおなじみのフレーズですが、筆者としては現行ハリアーこそが、実は「何かとちょうどいいクルマ」なのではないかとにらんでいます。
まず「上質感」がちょうどいい。
レクサスやメルセデス・ベンツなどと比べてしまうと、現行ハリアーの上質感にはやや見劣りする部分はあります。しかし世の中の多くの人は「別にあそこまで高級じゃなくてもいい」と思っているはず。かといって安っぽいクルマには乗りたくないとも考える多くの大人にとって、ハリアーぐらいのニュアンスがおおむね「ちょうどいい」のではないかと思うのです。
そしてサイズ感も非常にちょうどいい。
筆者は私物である現行スバルXVのサイズ感に満足してますが、もしも子供がいたり、もしくはもう少し立派な感じのクルマを好む嗜好の持ち主であったなら、XVのサイズは正直ちょっと物足りないと感じるでしょう。かといって日本の狭い道で、例えばベンツのGLSみたいなデカいSUVを運転する気にもなれない。となると、全長4725mm×全幅1835mm×全高1690mmとなるハリアーぐらいのサイズ感が本当にちょうどいいわけです。
さらに言えば車両価格も、ある意味「ちょうどいい」のでしょう。筆者個人としては「もうひと声安いとありがたいのだが……」と思いますが、世間一般としては現行トヨタ ハリアーの294万9480円~460万4040円という車両本体価格は、「ちょい高いけど、決して高すぎはしない」といったニュアンスのストライクゾーンに入っているはずです。
ターボも悪くないが、イチ推しはハイブリッド
さて。そんな感じのステキでちょうどいいトヨタ ハリアーを買うとしたら、我々は結論としてどのグレードを選ぶべきなのでしょうか?
現行ハリアーのグレード展開は以下のとおりです。
【動力源で分けるなら】
・2Lガソリンノンターボ(2WDまたは4WD)
・2.4Lガソリン+モーターのハイブリッド(4WDのみ)
・2Lガソリンターボ(2WDまたは4WD)
【装備で分けるなら】
・ELEGANCE:ベースグレード
・PREMIUM:中間グレード
・PROGRESS:上級グレード
この両者をかけ合わせたものが最終的なグレードとなります。そしてちなみにPREMIUMとPROGRESSには「Metal and Leather Package」という、より装備が充実しているパッケージもラインナップされ、人気を博しています。
以上を踏まえたうえでベストグレードを決めてみましょう。
まず最初に考えなければならないのが「で、動力源はどれにする?」という問題です。つまり普通のガソリンエンジンで行くか、ハイブリッドにするか、それとも2017年6月に追加されたターボを選ぶのか?
いきなり結論となりますが、ノンターボのガソリンエンジンは筆者ならば避けるでしょう。もちろん価値観や乗り方は人それぞれですが、ハリアーのそこそこ大きなガタイに対して、最高出力151ps/最大トルク19.7kg-mの2L自然吸気エンジンはやや力不足と感じる場合が多いはずです。
や、もちろん2L自然吸気でもぜんぜん普通に走るのですが、「ちょうどいい」とはいえハリアーはそこそこ高級なSUVです。であるならば、「普通に走る」のではなく「余裕をもって走る」感じであってほしいと思うのが人情というもの。そう考えたときに、2L自然吸気エンジンはやや物足りないということです。
残るは「ハイブリッドか、それともターボか?」になりますが、これはなかなか難しい選択です。最終的には好みの問題であり、どちらを選んでもOKだとは思うのですが、筆者としては「ハイブリッド推し」でいきたいと思います。
なぜならば、ハリアーのターボは割とスポーティというか、ドッカンと利いてくる感じのターボチャージャーなんですね。それはそれで面白い味付けだと思いますが、そこそこ高級なSUVであるハリアーにはガツンとくるターボよりも、ジワリと速いハイブリッドのほうがキャラ的には明らかにハマるはずです。
そしてカタログ燃費もハイブリッドが21.4km/Lであるのに対し、ターボ車は13.0km/Lと、かなりの開きがあります。もちろんその分だけハイブリッド車は車両価格も高めですが、それでも今の時代は「リッター20km超え」なクルマをついつい選びたくなるのがこれまた人情。その意味でも、基本的にはハイブリッドを推しメンとしたいのです。
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安価なELEGANCEは将来に禍根を残す?
お次は「装備軸」も加えて、最終的なおすすめグレードを考えてみましょう。つまり、
・ELEGANCE|377万4600円
・PREMIUM|407万4840円
・PREMIUM“Metal and Leather Package”|442万3960円
・PROGRESS|460万4040円
・PROGRESS“Metal and Leather Package”|495万4760円
の中から最終的にどれを選ぶか? という大問題です。
これまたいきなり結論ですが、もっともベーシックなELEGANCEはとりあえず選外としたうえで検討するべきでしょう。
現行ハリアー ハイブリッドのなかでは最安となる377万4600円という本体価格は確かに魅力的です。しかしハリアーはあくまでも「まずまずゴージャスなSUV」です。であるならば、各種の装備面で見劣りがするELEGANCEは乗ってるうちにほぼ必ず不満に思う点が出てくるはずですし、数年後のリセール価格もどうしたって不利。であるならば、最初から外してしまったほうが何かと健康的です。
そうなると残るは「中間グレードのPREMIUMか、はたまた上位グレードのPROGRESSか?」「そして普通のやつにするか、それともMetal and Leather Packageにするか?」という問題です。
いろいろ異なるこれらのグレードですが、それぞれの特徴をざっくり言うと以下のとおりとなります。
■PROGRESS
・パノラミックビューモニター(左右確認サポート+シースルービュー機能付)が標準装備
・T-Connect SDナビゲーションシステムが標準装備
・JBLプレミアムサウンドシステムが標準装備
■PREMIUM
・中間グレードだけあって基本的な装備はもちろん充実しているが、パノラミックビューモニター(左右確認サポート+シースルービュー機能付)は装着不可
・標準は「オーディオレス」なので、T-Connect SDナビゲーションシステムを付けるとなると課金あり
・標準は「オーディオレス」なので、JBLプレミアムサウンドシステムを付けるとなるとプラス43万2000円
・普通のオーディオシステムを付けるにしても、プラス35万1000円
■Metal and Leather Package
・シート表皮がプレミアムナッパ本革
・快適温熱シート+シートベンチレーション(運転席・助手席)付き
・フロントのシート調整は運転席8ウェイパワー&助手席4ウェイパワー
・4ウェイ電動ランバーサポート付き(運転席)
・マイコンプリセットドライビングポジションシステム(ステアリング・シート)付き
・運転席オートスライドアウェイ
・ドアスイッチベースはピアノブラック加飾
・シフトパネルとフロントコンソールはアルミヘアライン加飾
満足度とリセールを考えればやはり最上位グレードか?
以上のモロモロを総合的に考えると、最終的なおすすめグレードは「ハイブリッドのPROGRESS “Metal and Leather Package”」とするのが妥当だと考えられます。ハリアーというクルマのキャラを考えると、やはり装備は充実していればいるほど所有中の満足度が高まり、そして売却時も結局は高く売れる可能性が高いからです。「損して得取れ」という感じでしょうか。
しかしながらハイブリッドのPROGRESS “Metal and Leather Package”というのは現行ハリアーのなかではもっとも高額な最上位グレードですから、おすすめできるのは当たり前の話だと言えます。「高いんだから良くて当然じゃねえかバカヤロー!」という罵声も今、聴こえたような気がします。空耳かもしれませんが。
とはいえ「おすすめはハイブリッドのPROGRESS“Metal and Leather Package”である」という結論を変えるつもりはありません。しかしもう少し抑えめの予算でいきたいならば、素のハイブリッドPREMIUM(407万4840円)に、JBLではない標準のオーディオ(35万1000円)を付けるというパターンも悪くないはずです。
“Metal and Leather Package”ほどの高級装備がないのは惜しいポイントですが、普通の装備でも十分以上の高級感はある現行ハリアーですので、プレミアムナッパレザーにこだわらないのであればPREMIUMでも十分アリです。
ということで、皆さまの幸せでステキなハリアー生活が近日中に始まることを、陰ながら祈念しております。敬具。
[ライター/伊達軍曹]